第24章 凄惨と合流
「私が望んでここにいるのです。心苦しいなんて思わないでください」
ニコリと微笑みながら首筋に栄養剤を突き立てる様はある意味狂気を感じさせる。
本人は杏寿郎の心を軽くしようとして笑顔を見せているが、それが逆に恐怖の図となってしまっているのだ。
「……ふむ、分かった。では俺は先に戻る。皆が君と話す時間を作ってくれたがもう時間に余裕がない。必ず生き残れ」
「杏寿郎君も生きていてください」
頷き合い2人は戦闘に戻って行ったが、そこにあったのは熾烈を極めた闘いだった。
判断を1つ間違えれば死あるのみだ。
いくら斬り裂いても鬼舞辻の体はすぐに再生してしまうので本当に太陽が昇るまで死なないのだと実感させられた。
そう言った気持ち的な焦りや鬼舞辻の攻撃を避ける事に気を削がれ更紗も無尽蔵に動ける状態でなくなり額に汗が伝う。
それに加え鬼舞辻の攻撃に合わせて全員が市街地の通りを縦横無尽に動き回るので、膜で覆うことすら困難になってきた。
ピタリと張り付いていた膜は歪な形となり、はみ出した手足から血が流れ出しては皮膚が盛り上がり変色していく。
「夜明ケマデ後1時間!」
鎹鴉の時報はすごく助かるのだが、まだ鬼舞辻と先頭を開始してから30分しか経過していないのかと思うと目の前が真っ暗になるように感じた。