第24章 凄惨と合流
腹部に鋭い痛みをもたらしていたものは、叩き付けられた際に破損した床の一部だった。
隊服の破れている部分が脇腹付近だったので、どうにか即死は免れたようだ。
「この場の全員が君に対して言いたいことが山ほどあるが、今はそれどころではない。何か仕掛けてくるぞ、絶対にそばを離れるな」
何か仕掛けてくるであろう鬼舞辻に対してもちろん恐怖心がないわけではない……しかし周りに集まってくれた皆の自分に向けられていた視線に恐怖を覚えた。
間違いなく更紗に対して怒っている。
「……申し訳ございません。これ以上ご迷惑をかけないように」
「迷惑とかじゃねェだろ。お前はとにかく煉獄から離れんなァ」
「帰ったら少なくともこの場の全員からの小言、覚悟しててね」
全員の視線が鬼舞辻へと向きこれから起こる何かに身構えているものの、更紗に対しても気を張っているのが分かる。
また何かやらかさないか……この場にいる誰かを守るために命をかなぐり捨てる気配がないかを伺っている。
「かしこまり……ました。それでは絶対帰らないと……いけませんが……あ!景色が……杏寿郎君!」
更紗の焦った声に全員が警戒すると、風景がまるで切り取られたように次々と変わっていった。