第24章 凄惨と合流
「鳴女!何をしている?!早くこの蠅共を飛ばせ!」
(鳴女……その鬼が本拠地内を動かしていたので……しょうか?それにしても……やっぱり自分の保身ばっかり。嫌気がさします)
薄れそうになる意識の中ぼんやりと鬼舞辻の声を聞き1人考えを巡らせ苛立ちを覚えていると、攻撃が止まった機会を見計らって全員が更紗の周りへと集まってきた。
「更紗、痛みを伴うが堪えてくれ。引き抜くぞ」
何を……と杏寿郎に聞く前に腹部に鋭い痛みが走り、身構えていなかった更紗の口から小さな呻き声が漏れる。
「いっ?!うぅ……んぐ?!」
そして間髪入れずに口の中へ問答無用で流し込まれる苦味のある液体に顔をしかめたが、代わりに腹部に走っていた鋭い痛みが徐々に引いていった。
「大丈夫か?!痛みは?毒は受けていないか?」
矢継ぎ早な杏寿郎の質問に答えるべく、更紗は上体を起こして体を確認する。
幸いにも触手の攻撃を直接受けたわけではないようで、皮膚の盛り上がりもなく傷も見当たらない。
「痛みもありませんし毒も受けていないみたい……さっきの痛みは」
何でしょうか?と聞く必要はなかった。
杏寿郎の手に握られていたものを見れば一目瞭然だったからだ。
「床の一部が……」