第24章 凄惨と合流
「なんだと?」
鬼舞辻が切った小瓶の中身は辺り一面に降り注ぎ、毒かと思い込んでいる全員が身構えたが……その液体は皮膚の盛り上がりを抑え苦痛を取り去っていった。
「自分より矮小な存在に謀られる気分はどうですか?私は……すごく気分がいいです!」
挑発的な笑顔や相手を苛立たせる言葉を更紗は誰かに基本的に向けることはしない。
鬼に対してはその対象外に当たるが、杏寿郎でさえ今まで見た更紗の鬼に対しての言動の中で1番怒りや侮蔑が込められているように見えた。
「蝿が……貴様は特に目障りだ」
目障りなものは1番初めに始末する。
始末したところで、治癒の恩恵を受けられなくなった柱をさっさと倒してしまえば、後からゆっくり不思議な力を持つ蝿を吸収することが出来る。
そんな鬼舞辻の考えなど、この場の全員が把握している。
全ての触手が更紗へと向けられる中、行冥と杏寿郎と実弥が2本ずつ、無一郎と玄弥が1本ずつ。
そして残った1本を更紗が日輪刀で防いだ。
そこまで太さがないはずの触手の威力は何故か凄まじく、初めて攻撃を受けた更紗は後ろへと弾き飛ばされ、激しい衝突音を響かせながら床へと叩きつけられた。