第24章 凄惨と合流
「棗姉ちゃん……私、絶対に生きて帰るから。樹さんに必ず棗姉ちゃんの事を伝えるからね」
溢れそうになる涙を押しとどめ、更紗は踵を返して未だに激しい戦闘が繰り広げられている現場へと足を向ける。
そこには4人の柱と玄弥が誰も欠けることなく、手足を欠損することなく、体から9本もの触手のようなものを操る鬼舞辻と刃を交えていた。
だがどうも様子がおかしい……傷は回復しているのに皮膚が盛り上がり著しく全員の動きを鈍くさせているのだ。
「あれは……毒?血鬼術の一種かもしれない」
更紗は栄養剤を惜しみなく体内へ流し込み、再度鞄の中へ手を突っ込んで注射器ではない小瓶を手にして床を踏み切った。
「鬼舞辻無惨!私はあなたに効く毒を持っています!当たったら体が崩れますよ!」
その声に即座に反応した鬼舞辻は今しがた自分へ迫り寄り、毒が入っていると思われる大量の小瓶を投げ捨てた更紗へと意識を集中させ、その小瓶が自分に落下する前に全てを切り捨てる。
わざわざ鬼舞辻の気を引き付け、あまつさえ貴重なはずの毒薬を無駄にした更紗の言動に柱はもちろん玄弥も言葉を失っているが、当の本人は鬼舞辻を挑発するように満面の笑みを浮かべた。
「切ってくれてありがとう」