第24章 凄惨と合流
そう言って更紗は全員が視界に入る場所へと移動し、まずは1番危うい珠世を瞳に映す。
「愈史郎様がね、珠世様を助けてって私たちをここに誘導してくれたんです。間に合ってよかった」
「……いけません。死んで……しまいますよ。それに貴女の血は……」
更紗が何をしようとしているのか分かったのだろう。
鬼にされてから今に至るまで、珠世は自分の体を使って様々な研究を繰り返してきている。
そしてしのぶと共に更紗の力の研究もここ数ヶ月行ってきていたので、更紗の力が何に左右されるのかも把握しているのだ。
更紗の意思によって排出された治癒の効力が力を発揮するのは、この世に生を持っている者に限る。つまり本来の人としての生を捻じ曲げてこの世に存在している鬼には通用しない。
しかし、それが力を介してではなく直接的に鬼に取り込まれた場合は……鬼に新たな力、陽の光を克服する力を与える可能性が非常に高くなる。
(どうしよう……私は闘う術を持っているけど、珠世様は持っていない。珠世様が陽の光を克服したとして、鬼舞辻に狙われたら……)
鬼舞辻無惨が取り込んで陽の光を克服してしまう。