第24章 凄惨と合流
「一度に治癒します!体に欠損がある方は後ほど処置を施しますので、暫し辛抱願います」
聞こえているのかは分からない。
それほどまでにこの場は地獄と化しているのだ。
そんな地獄に白銀の粒子が降り注ぎ、辛うじて命を繋ぎ止めた者たちがぱらぱらと立ち上がっていく。
その内の何名かは柱稽古で共に研鑽した者たちがいる……つまり息絶えた者たちの中にも、更紗の見知った剣士がいるこということだ。
いけないと理解していても、あまりにも理不尽で悲惨な光景に更紗の双眸からとめどなく涙が流れ落ち、視界が透明の膜で覆われたように揺らいでしまった。
「月神……探してるのはこの人だろ?鎹鴉から愈史郎?って人の言葉が伝えられて、どうにか抱え込んでた。その……助けてくれてありがとな」
揺らぐ視界の中で、1人の剣士が歩み寄って来る姿が映る。
どうにか命を取りとめてくれた人の中から出てきたのは、実弥の屋敷で更紗を糾弾した剣士だった。
その剣士の腕の中には、今にも崩れ去ってしまいそうな珠世の頭が大切に抱え込まれている。
「はい、その方を探しておりました……貴方も……生きていて下さり……ありがとう……ございます。すぐに珠世様と皆さんの処置を行います。その場で楽にしていて下さい」