第22章 開戦と分断
更紗にとってはこの上なくいい案を掲示したつもりだったが、しのぶや杏寿郎からすれば変なことだったようである。
その事実に驚きながらも、しのぶと合流を試みてくれる杏寿郎の心根に笑みが零れた。
「カナヲさんも喜んで受け入れてくれた案なのですが……人によって感じ方は違うのですね……合流出来るまでどうしますか?他の方も心配ですし、剣士の方々が到着してからは治癒もしなくてはいけませんし」
今のところ上弦の鬼の強い気配は感じ取れない。
間違いなくこの迷路のような本拠地に戦力は集結されているはずなので、遠くにいるだけに過ぎないだろうが……
「他の皆は心配だがそれぞれ途轍もない力量の持ち主なので、とりあえずすぐに命がどうということもないだろう。要や神久夜が情報を得て来るまで、ここら一帯の鬼共を片っ端から片付けよう。今度は俺が出るので、君は後ろに控えていてくれ」
さすが鬼の本拠地。
上弦の鬼は近くにいなくても、先ほどのような鬼はそこら中にひしめき合っている。
仲間の情報が入ってくるまで、これらの処理に尽力するべきだろう。
「かしこまりました。杏寿郎君の背中を見て学ばせていただきます」
「うむ!盗めるものはぜひ盗んでくれ!さぁ、次の部屋へ行くぞ!」
こうして暫くの間、更紗と杏寿郎は雑魚鬼の殲滅に全力を注ぐこととなった。