第22章 開戦と分断
見た目は間違いなく雑魚鬼だが、反撃してくる力はどうもそれ以上の……下弦の鬼に近いものを感じた。
(殲滅する道を選んで良かったです。剣士の方々の被害を私たちで抑えられる!)
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり」
今の攻撃でほぼ目の前から鬼が消え去ったが、部屋の奥にいた一体は取りこぼしたようだ。
群れている間は威勢が良かったのに、周りに仲間がいなくなった現在は畳に尻をついて後退りながら震えている。
「な、なんなんだよお前……お前の方が」
「鬼みたい、ですか?既視感の覚えるお言葉ありがとうございます。ですが、残念ながら私は剣士たちの間で、別のモノに例えていただいてます」
ニコリと笑顔を顔に貼り付けているが、その目は全く笑っておらず、鬼は思わず身体を震わせ言葉を失った。
「聞いて下さらないのですか?でしたら、これでお話しはお終いですね。来世では……幸せな人生を歩んで下さい」
貼り付けられていたはずの笑顔はなりを潜め、悲しげに瞳を揺らせて……本当に冥福を祈るような表情へと変化した。
「紫炎の呼吸 壱ノ型 紫炎の猫」
最低限の痛みで済むよう、ブレることなく真っ直ぐに横へ滑った刃は鬼の頭を胴体から斬り離し、やがて他の鬼と同じく全てが塵と化していった。