第22章 開戦と分断
「あぁ、後から後輩たちが通る可能性があるからな。珠世という女性も心配だが、今は目の前の敵を片付けていくぞ」
鬼の本拠地に落とされたからか、更紗の隣りを歩く杏寿郎からは闘気がヒシヒシと漏れ出ており、それに呼応するように更紗の闘気も練り上げられていく。
「はい。では私が先陣を切ります。杏寿郎君は私の攻撃をすり抜けた鬼の殲滅をお願いします。炎柱様の力をここで使うのは得策ではありませんので!」
今までなら先走るなと叱られていたが、今は叱られないという確信があった。
周りから見れば小さな違いかもしれない。
それほどに小さな変化だが、杏寿郎は更紗を背に庇うのではなく、背を預けてくれたのだ。
弟子として守る存在ではなく、1人の剣士として……同じ柱として更紗を扱ってくれた。
もちろんそれは無意識に行った行為ではなく、杏寿郎が敢えて行った行為だ。
「取りこぼしは気にするな!突っ切れ!」
その言葉を合図に更紗は顔に笑みを浮かべ、杏寿郎と合っていた足並みを崩し一気に目的の部屋へと詰め寄っていった。
「紫炎の呼吸 参ノ型 活炎激発」
障子を開けるなんて行為知らないとばかりに、それごと中でひしめき合っていた鬼を、視界一杯に紫の炎を迸らせながら左右に日輪刀で斬り付け塵へと変化させていく。