第22章 開戦と分断
「怪我はございませんか?!痛む所があればすぐに仰ってください!その為に私はここにいますので!」
「大丈夫だ。俺よりも君の脇腹を治癒しなさい。不死川の本気の蹴りだ、肋骨が数本折れていてもおかしくない」
あの時何が起こったのか更紗は理解できなかったが、どうやら実弥に全力で脇腹を蹴り付けられていたらしい。
基本的に女子に優しく……更に妹のように可愛がっている更紗を蹴り付けるのは実弥にも抵抗があったはずだが、そうも言っていられる状況ではなかったのだろう。
「言われてみれば痛いかもしれませんが、骨は異常ないみたいです。軽い打ち身程度かと……実弥さんに感謝しなくてはいけませんね」
念の為脇腹に粒子を纏わせ痛みを取り除き、全力で杏寿郎の側へ誘ってくれた実弥の顔を思い浮かべて少し笑みをこぼす。
「そうだな、あのままだと君は鬼舞辻の元へ落とされていたはずだ。最悪の事態は避けられたが、恐らくここは敵の本拠地。何が起こるか分からん、警戒を怠らず進むぞ」
「かしこまりました。とりあえず……あちらに大量の鬼の気配がありますが、殲滅してから先へ進みますか?」
更紗の視線の先にある障子の向こう、どこに繋がっているのか分かったものではないが、確かにそこには大量の鬼がひしめき合っている気配が漂っている。