第22章 開戦と分断
完全に再生を終わらせた無惨は更紗の存在を認識していたのか、自らと同じ障子の中へ落としこもうとしているらしく、その入口が更紗の足元にまで伸ばされていた。
「更紗、来い!」
隣りにいる杏寿郎の声に反応してそちらへ手を伸ばしてもどうにも掴めそうになかったのだが……
「思い通りにさせてたまるかァァ!」
その声が実弥だと認識した時には脇腹に物凄い衝撃が走り、届かなかった杏寿郎の手を掴むことが出来た。
そして脇腹の痛みに顔を歪めながら消えゆく声の主を見遣ると、そこには違う障子の中へと落ちていく実弥の姿があった。
「煉獄のそば離れんなァ!」
「実弥さん!待って!」
懸命に手を伸ばすが、日輪刀を握っている手では掴むことも出来ないし、距離的にも届くものではなかった。
「後で合流出来る!今は目の前のことに集中だ!掴まっていろ、絶対離すな!」
「はい!」
そう言って杏寿郎は更紗の体を抱きかかえ、地獄の果てまで続きそうな無限回廊の壁を蹴りつけて、どうにか廊下と思われる場所に体を転がした。
幸いにもどちらも目立った外傷はなく、すぐさま立ち上がって互いに背を預けながら日輪刀を構えて辺りの様子を伺った。