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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第22章 開戦と分断


失敗する未来ではなく救出に成功する未来を何度も脳内で反芻させるが、全員の命を自分が握っているのだと思うと、否が応でも心臓が早鐘を打ち呼吸が浅くなっていく。

(落ち着かないと。お館様のお話しによると、この闘いで私は凄惨な現場を目の当たりにするのですから。今から緊張していては身が持ちません)

震える指先を更紗が握り締めていると、温かく大きな手がそれを包み込んでくれた。
視線は更紗と同じく天元から逸らされていないが、確かに杏寿郎の手が更紗の手を握りしめてくれている。

(この手を守らなきゃ。天元君も協力してくださっているのだから、誰1人欠けさせる訳にはいきません)

緊張は全て解てはいないが、計画遂行に邪魔な震えは止まってくれた。
それと同時に杏寿郎の手も離れ、代わりに天元の手が徐々に空に向かって挙げられていく。

(あと少し……手が上がり切ったら)

更紗と杏寿郎が天元の合図を固唾を呑んで見守っていると、ゆっくり上がっていた腕が急に速度を上げ、ピンと真っ直ぐに空へと掲げられた。

それを視界の端に映しながら、2人は同時に塀を乗り越え庭へ降り立ち、突然の2人の出現に驚く5人を気にも止めず、激しい閃光に目を刺激されながら救出対象へ足を動かした。
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