第22章 開戦と分断
「これは鬼殺隊皆さんのご協力あってこそ身に付いた力です。私1人では絶対成し得ないものでしたから……ではそろそろ向かいましょう!日が沈んで間に合わなかったら、この力を使うことも出来ません」
ニコリと笑って更紗が後ろを向いて本部へ足を動かすと、2人や鴉たちの周りに漂っていた粒子はパッと消え去り、ここまで走って少し疲れを見せていた足の筋肉が回復していた。
2人は顔を見合わせ、回復してもらった足を動かして少し先を行く更紗の後を追う。
「これが普段、更紗の体内で起こっている自己修復能力に近いものなのだろうな!」
「なるほどなぁ、これ体感すっと無茶したくなる気持ちも分からんでもないな。疲れねぇ、息切れしねぇ、怪我してもすぐ治せる……まぁ、傍のモンは生きた心地しねぇが」
基本的に傍にいる杏寿郎は小さく唸り更紗の小さな背を見つめた。
「……この闘いで最後にしてやりたいな!そして見るのも最後にしたい!」
「鬼舞辻倒しゃあどっちも最後になるだろ!俺は闘えねぇが、帰り待ってっからな!絶対お前ら2人含め、全員戻ってこいよ!」
開戦がすぐそこに迫っており何が起こるかなど何も分からないが、杏寿郎は天元に頷き返すと先を走る更紗に追いつくために速度を上げた。