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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第22章 開戦と分断


「治療薬、隊服、日輪刀、羽織……全て問題ないな。今日、動き出すようなので、俺もすぐに追える準備を整えておかなくては」

杏寿郎は更紗に何も聞かなかったし、今も自由にさせている。
だが、しのぶに約束した通り更紗の様子をよく観察していた。

しのぶの屋敷から帰ってきて早々、裁縫箱を取り出して来て苦手なはずの裁縫を黙々と行い、毎日針と格闘しながら大きめの鞄を完成させていたし、数種類の薬をしのぶから、替えの隊服を鈴村から取り寄せていたことを杏寿郎はしっかりと認識していたのだ。

「隠れて行っているつもりなのだろうが……なんとも詰めが甘くて憎めないと言うかなんというか」

取り寄せていたこと自体は知るところではなかったのだが、居間に薬を1本置き忘れていたり、着ている隊服の釦はきっちりついているのに、1個だけ廊下に転がっていたり……

「極めつけはそれら全てを自室に隠すようにコソコソ集め……今日はそこから出てこないときた。隠し事の出来ない子だ」

呆れ口調の割りには表情が緩んでおり、どちらかと言えば懸命に何かを隠す更紗を楽しんでみているように見える。

「さて、恐らく鬼が動き出す…… 更紗が家を発つ前に軽く食事でもつくっておいてやるか」

更紗が手紙を書き出し始めた頃、杏寿郎は台所へと向かった。
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