第22章 開戦と分断
あれから4日が経過した。
聞いても答えないと分かっていたからだろう、更紗に杏寿郎は何も聞かないでいてくれた。
今も不自然に自室に篭もる更紗を自由にさせてくれている。
「お薬もたくさんいただきました。鞄も……少々歪ですがどうにか作り終えましたし、日輪刀、隊服、羽織全て準備出来てる。予備の隊服も……大丈夫。あと少しでここを発たなくてはいけませんが……黙って出ては杏寿郎君にまたご心配お掛けしてしまいます」
自分がどうしたいのか、何をすれば望むことを手に出来るのか……
それが分からなくて一晩中杏寿郎に縋り付いていた。
嫌がらず怒らず、ずっとそばにいさせてくれたお陰で更紗は落ち着きを取り戻し……そして次の日、同じような悩みを抱えるカナヲと話しているうちに、自分がどうしたいと思っていたのかを知ることが出来た。
「カナヲさんからお便りはなかったので、あちらは心配なさそうですね。あとは自分の心配と杏寿郎君の心配です……うーん、お手紙を門の前に置いて行く……しか思い付きません」
家を発つと言えば必ず理由を聞かれてしまう。
自分がそばに駆け付けるだけでお館様の願いを1つ破ってしまうのだ、これ以上は破れないと更紗は筆と紙を手に取った。