第21章 秘密と葛藤
杏寿郎としのぶ、2人は気持ちを切り替え打ち合いをしていたのだが、手を繋いで仲良くやってきた更紗とカナヲの朗らかな様子を見て、思わず同時に体の動きを止めた。
「2人とも元気に……なっていませんか?」
「うむ……同じ年頃の女子同士、何か通ずるものでもあったのやもしれんな!胡蝶、少しだけ時間をもらえないだろうか?」
元気になった更紗の元へ駆け寄りたいのだろう、返事を待つ間もうずうずしており、その様子が杏寿郎らしくなくしのぶは苦笑いを浮かべている。
「えぇ、構いませんよ。私もカナヲとお話しをしますのでごゆっくり」
「すまない!」
そう声が聞こえた頃には既に杏寿郎は更紗とカナヲの前に移動しており、更紗は笑顔で喜んでいるがカナヲはあまりの速さに若干引き気味である。
「2人とも元気になったようだな!更紗同様、君も元気がないと聞いていたので心配したぞ!」
「え、あ、あの、はい。更紗ちゃんにお話しを聞いてもらいまして……その」
秘密の話だからだろう、カナヲは歯切れの悪い言葉をモゴモゴと杏寿郎へと返していたのだが、そこへ鈴の音のような聞き慣れたカナヲの大好きな声が響いた。