第21章 秘密と葛藤
「えっと、最近まではあまり無茶をしている自覚はなかったので……正確な数は分かりませんが、それなりにご心配をかけていたかと」
未だに続く無言の視線攻撃に更紗の胸は痛むが、何も言い返すことが出来ない。
だからと言ってこのままの状態でいられるほど、更紗の心も強くはないわけで……
「すみません、これからはもっと慎重になります。でも……私、実弥さんのお気持ちも分かるのですが、玄弥さんのお気持ちも分かるような気がします」
更紗が全員へ向けていた視線を自分の手に落とし少し悲しげに目を細めると、3人が首を傾げて様子を伺った。
「私、本当に何も知らなくて出来なくて……杏寿郎君や天元君に沢山教えていただきました。そうこうしている間に大切な人がどんどん増えて、尊敬する人も今や数えられないほどです。それと同時に……自分の中で欲が出てきたんです。認めてもらいたい、力になりたい、守りたい……って。守られるだけじゃなく、そばで肩を並べて闘いたいって思うようになっちゃいました」
実弥と玄弥の当時の会話を更紗も聞いていないので内容は分からないが、鬼を喰らってまで玄弥が鬼殺隊に留まり続ける気持ちは何となく理解出来た。