第21章 秘密と葛藤
強大な力を手にするにあたり、無償はありえない。
治癒という周りが羨む力は使い方を誤れば命に関わる。
実際、知らぬ間に10年も望まずして寿命を縮められた更紗からすれば、玄弥のことも他人事では済ませないようだ。
「何が代償か……にもよりますが、実弥さんも心配になりますよね。私のような者を近くで見ているから尚更……なのかなと思います。私が言えた義理ではないですが、そばで無茶をされたら……見守る方が寿命縮まっちゃうと思い……ますし」
自分が無茶をすることで、多く心配をさせてしまった杏寿郎や天元をチラリと見遣ると、杏寿郎も天元も苦笑を漏らしていた。
「まぁそうだな。そう言われると不死川の気持ちも分からんでもない。大切な人が自分のことは厭わず無茶をする様は、なんとも心臓に悪いからな」
耳が痛い。
確実に更紗は耳が痛い思いをしている。
だがその痛みは続くことになる。
「花街の時はそれこそ寿命縮まる思いしたしなぁ!助けられたから強く言えねぇけど……不死川の気持ち分かるわ!」
ジィッと3人に見つめられた更紗はいたたまれない気持ちになり、視線を自分の手元へと避難させた。
それを3人が見逃すはずもなく……
「お前……どんだけやらかしてんだァ?」