第21章 秘密と葛藤
「なるほど、そういった経緯があったのか!更紗の言う通り、君たちにはそれぞれ譲れないものがあり、大切な人への接し方や守り方が違ったのだな!接触禁止になるほどの諍いはどうかと思うがな!」
接触禁止ともなると、それなりに激しい喧嘩だったのだろう。
どんな経緯があれど、それだけのものをして接触禁止を言い渡されるだけで済んだのだから御の字だ。
本人はどう思っているか分からないが、3人は大事に至らずホッとしているのか肩の力が少しだけ抜ける。
だが、実弥の心中を思うと複雑な気持ちだろう。
「でも……その、鬼を食べて玄弥さんの体に副作用みたいなものはないのですか?刀鍛冶の里でお見かけした時、少し様子が違うなとは思ったことがあって、その後に目にした時はいつも通りだったように感じましたが……」
「分かんねェ。俺も実際に見たわけじゃねぇからなァ。だが、宇髄みたいな聴覚が並外れてる……っていう特異能力より、どちらかと言うとお前の特異能力と同じ部類じゃねぇかと考えてる。鬼喰ってんだ、何かしら代償はあんだろ」
特異能力を持って生まれた更紗はもちろん、その危険性をよく知る杏寿郎や天元の表情が翳った。