第21章 秘密と葛藤
ニコニコの更紗に天元は同じく満面の笑みを返し、ズイとお品書きを押し付けた。
「礼なんていらねぇって!これは俺の席代らしいからな!ほれ、朝から会議続きで腹減ってるだろ?早く頼め」
お品書きを押し付けられた更紗は頷いてそれを受け取ると、さっそく広げて杏寿郎と仲良くあれもこれもと選出し、天元の冷や汗が止まらなくなったことは言うまでもない。
「高ぇ席代だなァ、宇髄」
「お前がそれ言うか?まぁ、姫さんの柱就任祝いって思えば安いもんよ。で、不死川はどうすんの?なんだったら、前の席で機嫌よく飯選んでる2人と同じの頼んでみたらどうだ?」
目の前で
「では半分ずつにしましょう!そうすれば2人とも10種類ずつ食べられますよ!」
「それはいい案だ!よし、そうしよう!」
なんて、とんでもない量を頼もうとしている2人と同じものなど、蜜璃以外美味しく完食出来る人間はごく僅かだろう。
もちろん実弥も一般男性と同じ量ほどしか食べることは出来ないので、天元の案は即座に却下した。
「無理だろ……むしろこいつらの話聞いてるだけで腹いっぱいなりそうだ。食うがな」
「食うのかよ!なら早く選べよ……って姫さんまだ品書き、目ぇキラキラさせて眺めてんのか」
お品書きが天元と実弥の元にやってくるまでに5分要した。