第21章 秘密と葛藤
「君の分は俺が支払う!だから宇髄は不死川の分だけ」
「そんなら宇髄を追い出すだけだ。ほら、さっさと店出ろやァ」
入口はあっちだと実弥は親指で親切に天元に教えてやっているが、ここまで来てそれに従う天元ではない。
「舐めんなよ!久々にこいつらとも飯食えんだ!引き下がってたまるか!煉獄、姫さん、好きなもん好きなだけ食え!特別に今日は天元様が奢ってやる!」
嫁が3人もいるのにここで大盤振る舞いして家計は大丈夫なのか不安になるが、本人が奢ると言っているのだから大丈夫……なのだろう。
「だってよ。遠慮すんな。なんなら最後に甘味もたらふく食ってやればいい」
甘味も大好きな更紗にとっては喜ばしいことだが、本当に奢ってもらっていいのか分からず、隣りに座る杏寿郎の顔を見つめて首を傾げた。
そんな更紗の頭を杏寿郎は頷きながら撫でてやる。
「宇髄本人もその気のようだし、今日は言葉に甘えさせてもらおう!今度何か一緒に礼をすれば問題ないだろう!」
「そうなのですか?……では今日はご馳走になります。天元君、このお礼は後日に必ずさせていただきますね!何を食べたいか考えていてください!」