第20章 柱稽古とお館様

「しのぶさん、私も一緒に行きます！お詫びも兼ねまして」

立ち上がり部屋を出ようとしていたしのぶは、廊下に足を1歩踏み出したところで足を止めて振り返った。

「あらあら、それは助かります。では皆さん、少し更紗ちゃんをお借りしますね。行きましょうか」

怒りのない優しいしのぶの笑みにホッと肩をなでおろし、更紗は皆にペコと一礼して部屋を静かに出て行き、部屋は何とも言えない空気が漂う。

「ねぇ、煉獄さん。更紗ちゃんの力、鬼がいなくなったらどうするんですか？今は怪我人が溢れかえる鬼殺隊でどうにかなってるけど……」

無一郎の小さな問い掛けは杏寿郎も、そしてこの場の皆も胸の中でつっかえていたことだ。
本人に聞くわけにもいかずここまできたが……本人はどうしたものか、と悩んでいるだけであまり重きを置いていないようだった。
人の気も知らず呑気なものである。

「む……現状、使い続けるしか手立てがない。更紗本人があの様子なので困っているのだ。自分のことに無頓着と言うか……なんとかなる精神がすこぶる高い」

杏寿郎が腕を組み悩んでいることを更紗はもちろん知らず、今頃はしのぶと女子同士の話しに花を咲かせているのだろう。