第20章 柱稽古とお館様
「今どれくらい体に蓄積されているんだ?それによって答えは変わる」
少な過ぎれば許可は下ろさないという意味が込められているが、更紗はニコリと杏寿郎へと微笑み返す。
「体全体で表しますと首の少し下……といったところでしょうか?」
衝撃的な言葉に杏寿郎がポカンと呆けた後、ムギュっと両手で更紗の頬を挟み身動きを取れなくした。
「なぜもっと早く言わない?!不死川、怪我などしていないか?少しでも更紗の力を使わせたい!」
「いや、流石に鬼が出てねぇ状況で好き好んで怪我なんてするかよ……おい、確か力を限界まで溜めたら命危なくなるんだったよなァ?何で黙ってやがったんだァ?」
杏寿郎だけでなく実弥にも叱られた更紗は2人から視線を外し、ウロウロと目を所在なさげに彷徨わせる。
「忘れていたと言いますか……最近は何分溜まる速度が速まっておりまして、少し使わないとすぐに溜まっちゃうのですよ。どうしたものかと私も悩んでいる状況でして……」
誰か助けてくれる人はいないかと考えた末、穏やかに微笑んでいるしのぶが目に入り、助けて欲しいと縋るような視線を送ってみるが……どうも穏やかな笑顔の裏で怒っているように見える。