第20章 柱稽古とお館様
違うことを考えている間に日輪刀が全貌を現し、ため息が漏れるほどに鋭く綺麗な刃が全員の瞳に映される。
そして更紗が意を決して柄を両手で握り締めると、鯉口からじわじわと色が赫い色へと変化していった。
「赫……私は炎の呼吸の方が体に」
「いや、待て。よく見るんだ、色が……途中から変化している」
杏寿郎へ向けていた視線を日輪刀へ戻すと、その言葉通り彫り込まれた文字の『悪』の上付近から色が混じりあったように滲み、そこから一気に刃先まで薄い紫へと変化した。
「……なんだか派手ですね。それに……日輪刀が迷っていたように見えましたが……赫……?え、いや紫?薄紫だ!って感じでしたね」
言い得て妙。
初めはゆっくり染まっていたのに、色が混じりあってからは染まる速度が一気に加速したのだから。
「なんて例え方だ……それにしても凄いな。お館様、更紗の日輪刀は赫と薄紫に染まりました。割合からすると薄紫が多いので、恐らく更紗は紫炎に当てはまるかと思います」
今までそんなことがなかったのか、お館様もあまね様も……柱や天元も目を見開き驚きを隠せずにいる。
「この色は……柱であることに問題が生じるのでしょうか?」