第20章 柱稽古とお館様
夜の帳がおりた頃、更紗は行冥の屋敷に来てからの出来事を思い出しながら布団へと潜り込んだ。
稽古が終わってから、夕餉を作り食べる時も風呂に入る時も永遠に記憶を反芻させていたが、後一歩のところで重要な部分に辿り着けずにいる。
「ここに剣士の方が集合していないのですから、この稽古を突破した人が必ずいるはずです。力技で動かし切った方もいるかもしれませんが、私のように女性もいたはず……女性が力技のみであの岩を動かせるとは思えません」
となるとやはり何か動かすための予備動作が存在するはずである。
「滝行は何のために行ったのか……しかもただの滝行ではなくお経を唱えながら。丸太を担いた時もお経は必ず唱えていましたよね。体に同じ作業を繰り返させ……覚えさせるため?」
ここで蜜璃の稽古が頭に過った。
何度も何度も同じ曲で同じ動きを繰り返した。
「反復練習あるのみ……蜜璃ちゃんはそう言っていました。お経も同じ反復作業になりますよね。あ!思い出した!悲鳴嶼様は滝行が先の稽古に繋がるというような言葉を言ってました!」
自分の体温で温まった布団から勢いよく飛び起き、掛けておいた隊服に手を伸ばして袖を通す。