第20章 柱稽古とお館様
気合いのこもった言葉に体もつられたのか、下ろされている手をギュッと握り締めてから岩へと持っていく。
試しにコンコンと叩いてみるが、もちろん中が空洞などあるわけもなく一切響くことはなかった。
「……稽古で軽い岩など有り得ませんよね。よし、いざ尋常に!」
足を踏ん張り腰や腕に力を入れるが一寸たりとも動かない。
痣も発現して力はだいぶと上がっているはずなのに、岩は地面に固定されているのではと思うほどにピクリともしてくれない。
「これはまた……厳しい稽古ですね。きっと無理矢理動かそうとしても動かない。何か悲鳴嶼様が言ってなかったでしょうか。動かすための助言的なものを……」
脳内のあらゆる引き出しから記憶を引っ張りだそうとするが、すぐには思い出せそうにない。
悩んでいても時間は待ってくれず無常にも過ぎていく。
「押しているうちに思い出せるかもしれません。とりあえず今は目の前の岩に集中!気を取り直してもう一度」
こうして気合いで押し続けたが記憶はモヤに包まれたまま……もちろん、この日のうちに岩を動かすことは叶わなかった。
明日の朝、また稽古が始まるまでに何か動かすためのコツを掴めることを祈るばかりである。