第20章 柱稽古とお館様
次の日の朝、更紗はいつもより少し早く起き、行冥の好物である炊き込みご飯と白米の握り飯をこさえた。
朝から少し嬉しそうな行冥の表情にホクホクしながら、滝行を行う場所へ向かった。
そこには昨日まではなかったはずの剣士の数だけの丸太と、巨大な岩が圧倒的な存在感で鎮座しており、驚いたのは更紗だけではなかったはずだ。
しかも更紗の分の丸太の上には隊服のズボンが置かれていた。
丸太を担ぐにあたってスカートだと心許ないと判断した行冥の心遣いに心から感謝し、有難くズボンを着用させてもらって滝行(丸太付き)を開始して今に至る。
更紗もだが、共に滝行を行っている剣士たちは念仏を唱えているものの目は極限まで開かれ充血し、身体中の血管が浮き出ており今にも血が吹き出しそうだ。
(丸太を担ぐだけでも辛いのに……木が水を含んで重さが増していきます。あ!落ちちゃった)
隣りでは限界を迎えた剣士が1人丸太とともに川へ流されていく。
それが合図だったように他の剣士たちも次々と激しい音と飛沫を上げて水の中へ誘われていった。
(そろそろ昼餉の時間ですし、私も丸太を置いて……どうやって下ろせばいいのでしょうか?!)
結局丸太を自分で下ろせなかった更紗は、限界を迎えた剣士たちと同じく川に流される道を選んだ。