第20章 柱稽古とお館様
「お力になれたのであればこれ以上嬉しいことはございません。師範や天元君、実弥さん、柱の方々に鍛えてもらった甲斐があります。皆さん強くてお優しくて……私もそうなりたいと心から思います」
頭の中で柱一人一人の顔を思い浮かべると、それぞれの優しさや温かさが更紗の胸の中を満たしていく。
過去の辛い出来事が消え去ることはないが、それを包み込んでくれる大きな光がいつも先を照らし背中を押してくれる。
「明日からの稽古、皆さんに報いれるよう全力で頑張ります。丸太を見事担いでみせますので見ていてください!早く……強くならなくては」
「月神が特異能力を向上させてくれているだけでも十分報いてくれている。それに柱は後輩剣士を育てるのも責務の一つだ。焦ってはことを損じる。気負い過ぎず稽古に励みなさい」
最強剣士からの静かな激励に更紗の胸が震え、明日への活力が漲ってきた。
「はい!今日やこれからの稽古のお礼に何か悲鳴嶼様の好物を作らせてください!食事では何がお好きですか?」
ニコニコと朗らかに笑う更紗に吊られた行冥は知らず知らずこのうちに好物を口にしていた。
明日の食事は朝から晩まで炊き込みご飯になるだろう。