第20章 柱稽古とお館様
初めこそ通常の日輪刀とかけ離れた形状のものに戸惑っていたが、そこは行冥の計り知れぬ手腕で打ち合う分には全く問題なかった。
それどころか斧や鉄球は重さがあるはずなのに、それを感じさせることのない流麗な動きに更紗の意識が削がれてしまいそうになったほどである。
暫く金属同士がぶつかる独特な音を響かせていると更紗の手がカタカタと小刻みに震え、目を奪われるくらいの勢いで日輪刀の鯉口から一気に刃全体が赫く染まり上がった。
「悲鳴嶼様、赫刀に変化しました!」
言わずとも感じ取っていると分かっていたが、無事に赫く染まってくれた日輪刀に嬉しさと安堵が押し寄せ、言葉に出さずにはいられなかったのだ。
「そのようだな……これが赫刀か。煉獄も素晴らしいものを見出してくれたものだ」
行冥は両手に構えていた日輪刀をゆっくり床へと下ろし、息を弾ませながら日輪刀を掲げ続ける更紗の肩に手を置いた。
「月神にも感謝している。私はまだ痣や赫刀を発現させていないが、これで近々全て自身のものに出来そうだ」
言葉や声音の優しさも肩に置かれた手の温かさも、今の更紗にとって何ものにも変え難い褒美であった