第20章 柱稽古とお館様
強く握るだけと言っても、杏寿郎の素の力に加え痣で更に握力が上昇していただろう。
しかもあの時は目の前に鬼の分身がおり、何がなんでもあの場で食い止めなければならない状況だった。
それら全てを掛け合わせた結果の赫い刃だったなら、明日試してすぐに出来るとは思えないが……物は試しである。
「よろしくお願いします!でも、お時間は大丈夫ですか?そんなに長くは滞在されませんよね?」
「明日の夕刻まではここに居るから大丈夫だろう。明日は朝から君たちの稽古に参加し、昼から不死川との稽古の予定だからな。その後で良ければ多少時間は取れるはずだ」
相変わらず予定がびっしり詰まっているにも関わらず、体力の心配は全くしていない。
それにしても明日は柱2人相手に稽古……無限打ち込み稽古ときた。
こちらの体力の方がもたない。
「……実弥さん1人でもいっぱいいっぱいだったのに、杏寿郎君も参加されると倒れる未来しか想像出来ませんが。後の時間を楽しみに頑張るしかありませんね」
小さくため息を零す更紗に追い討ちが掛けられる。
「更紗は明日の稽古から柱側として参加させると不死川が言ってたぞ?一太刀入れ課題は突破しているので、次は多数を相手にしながら治癒をしてみろとのことだ」
今が夜でなければ更紗の声が屋敷中に木霊していただろう。