第20章 柱稽古とお館様
結局勝敗がつかないまま先に限界がきたのは2人の木刀だった。
技の威力に耐えきれなくなった木刀は根元から折れてしまい、2人の背後へと綺麗な放物線を描いて飛んでいったのだ。
それでも一刻ほど持ちこたえてくれたので十分だろう。
「どうだった?見学して何か掴めたか?」
あれから実弥の屋敷へ戻り、死んだように眠っていた剣士たちを実弥が般若の形相で叩き起して一般剣士全員で夕餉の支度を行い、早めの夕餉を終わらせると各々が与えてもらった部屋へと散っていった。
杏寿郎と同じ部屋を割り当てられた更紗は、今までの稽古の内容やこれからしようとしている事などを話し、現在は今日の柱同士の稽古について所感を求められている。
「正直に申しますとお2人に追い付くにはまだまだ鍛錬が必要だと感じました。あと稽古には関係ないですが、前に刀鍛冶の里で杏寿郎君の刀が赫くなったのを覚えていますか?あれが気になります。鬼の再生を遅らせていたので」
「更紗なら鍛錬を続けていれば必ず追い付けるので共に努力あるのみだな。ん?あぁ、覚えている。覚えているが、強く柄を握ったこと以外何も特別なことをしていない。明日、日輪刀を持って試してみるか?」