第20章 柱稽古とお館様
正解は何処にも記載されていないので、推測が合っているのか確かめる術はない。
だが炭治郎が呼び水となっているならば、今鬼殺隊に属している剣士……特に柱の体に続々と発現するだろう。
「体温と心拍数の上昇、それに加え極度の感情の昂りが痣を発現させる……この稽古で実弥さんも体のどこかに痣が出る可能性が……あぁーー!!杏寿郎君!止まってください!実弥さんの頬に痣が!」
噂をすればなんとやら。
まるで更紗の言葉をなぞったかのように、実弥の右頬に風車を模した痣がくっきり現れた。
「なに?!不死川、一時中断だ!君の右頬に痣が出てるぞ!」
「あ"ぁ"?!んな事関係ねェ!煉獄、手ェ止めんなぁ!!」
興奮状態の実弥は技を放つことを止めず、劇的に上がった身体能力を存分に使い杏寿郎に技を出すよう促していく。
「止めないか!……くっ!更紗が泣いてしまうぞ!」
ピタリ。
実弥は木刀を振り上げた状態のまま動きを止め、恐る恐る更紗へと視線を移していく。
そこには涙目になりながら慌てて鞄から抑制剤を取り出そうとしている更紗の姿があった。
「なんで泣くんだァ……すぐ死ぬわけじゃあるまいし。分かったから泣くなァ!んで早く薬よこせ!」