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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


「更紗、大丈夫か?」

優しい声が近くで聞こえた途端、更紗は顔を俯かせたまま杏寿郎の胸の中へ飛び込み動かなくなってしまった。
基本的に人前で抱き着いてくることのない更紗がこうも縋って来るということは、それほど精神的にくるものがあったのだろう。

だがそんな更紗が可愛らしく、ついつい愛でそうになる杏寿郎だが、これ以上羞恥に晒してやるのは酷だと自分に言い聞かせ、脇に手を差し込んで立つように促してやった。

「おいで。ここでは落ち着かんだろうから、部屋で少しゆっくりしよう」

どうにかふらつく足で立ち上がり小さく頷く更紗の肩を支え、杏寿郎は剣士たちへと向き直る。

「気遣ってやってくれて助かった。この子は穏やかな子なので、怯えずに仲良くしてやってくれ。明日からの稽古も、今日のように協力してくれると更紗も喜ぶ。頼んだぞ」

剣士たちは全員がコクコクと頷いたが、その言葉より寄り添う2人に意識を持っていかれ、ほぼ右から左へと声は流れてしまった。

関係を聞くに聞けないまま剣士たちは呆然と立ち尽くし、静かに2人を見送った。
明日は今日とは違う事で更紗の顔が赤くなるに違いない。
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