第4章 鍛錬と最終選別
その表情から不安を的確に感じ取った杏寿郎は付け加える。
「心配ない!危ない時は宇髄が受け止めてくれる。ここの床は柔らかい土でなく硬い板だからな!頭から落ちたら命に関わる!初めての相手に無茶な投げ飛ばしもするつもりもない!安心しろ!」
安心しろと言われてもどうすればいいのか分からない……
だが、鬼殺隊の柱である2人に鍛錬をしてもらえるなんて贅沢な事はこの先ないかもしれないと思い、更紗は頷く。
「頑張ってみます!師範、天元様、よろしくお願い致します!」
思わずそのままの格好で頭を下げて、2人が苦笑いした事は言うまでもない。
そうして始まった受け身の鍛錬は思いのほか難しく、慣れてきたと言えど5回に1回ほどしか成功しない。
ちょっと違う感じで投げられると必ず失敗する。
失敗した時は容赦なく叱責が飛ぶ。
「違う!それはさっき言ったぞ!体を捻って足から着地するように!」
「はい!もう一度お願いします!」
飛ばされては着地し、飛ばされては天元に受け止めてもらいを永遠に繰り返していた。
更紗の力であっても三半規管の乱れはなかなか回復せず、何度も吐きそうになりながらも必死に言われた事を忘れないように体に覚え込ませていく。
(頭がクラクラします……でも、休んでる時間が勿体ないです!お2人の貴重な時間を有効にさせてもらわないと!)