第20章 柱稽古とお館様
「本当ですか?嬉しい!あ、見て下さい杏寿郎君!私、手をかざさなくても治癒を施すことが出来るようになったのですよ」
「なんと!だが少し待ちなさい、説明が」
制止させようとしたが既に遅い。
杏寿郎の目の前では涙目で慌てる更紗。
そしてそんな更紗から近い場所にいる剣士2人の体を覆うように、白銀の粒子が少し歪な形で出現して傷を一瞬で癒していった。
その様子を一部始終目にした杏寿郎は、これから起こり得る状況を把握しながらも更紗を胸の中に誘った。
「すごいではないか!君のお陰で多くの命が助かるぞ!本当に……よく頑張ってくれた」
人目を憚らず風柱に小さな傷を負わせた少女を抱き締め褒める炎柱を見て、剣士たちはその少女が何かをしたのだと頭では理解した。
しかし信じられない出来事が突然起こり、口を半開きにして傷があった場所を確認しながら目を見開き驚いている。
それを見ていた他の剣士たちも呆然としていたが、一瞬後には蜂の巣を叩いたように騒がしくなってしまった。
「申し訳ございません……私またやらかしてしまったのですね」
「ふむ、それは違いないが更紗の努力は賞賛に値すると判断した!……不死川も呆れてはいるが、怒っていない」