第20章 柱稽古とお館様
「本当に申し訳ございませんでした」
小芭内の釦を弾け飛ばし稽古を突破した日の翌日。
力の範囲指定を朝からみっちり練習させてもらった後、更紗は取ってしまった釦を小芭内の隊服へとチクチク縫い付けていた。
柱稽古が落ち着けば自分で縫い付けると言われたが、柱の証である金色の釦をそのままにしておくことがどうしても更紗には出来ず、橙の陽の光が差し込む部屋でことにあたっている。
「謝罪は必要ないと何度も言っているが……それにしても女子はやはり器用だな、こうも早く元に戻るとは」
修繕の終えた隊服を更紗から受け取り感心しているが、更紗は首を左右に振った。
「お恥ずかしながら16まで私は繕うことをした事がなかったので、裁縫は不得手です。でも鬼殺隊に入って杏寿郎君と毎日任務に行くようになると、もう笑いが出るくらい日に日に隊服がボロボロになりまして。自分で繕ううちに、どうにか釦だけ上手に付けられるようになりました」
今の隊服は新調してもらったばかりで綺麗なので、代わりに羽織の裏をピラッと捲って小芭内に見せる。
「ご覧の通り表は見れる状態ですが、裏は当て布だらけで縫い幅もまちまちなんですよ」