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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第19章 音柱と美しき鬼


そのままの状態がしばらく続いた後、杏寿郎がゆっくりと目を開いて自分をじっと見つめる更紗の様子を伺うと、答えを急いていることもなく、ただただ杏寿郎を信じ、出された結論に従うという姿勢が感じ取れるほど、穏やかで落ち着いた表情をしていた。

(こうも信頼されているのだ、俺も過保護に更紗を守るだけでなく成長を見守らなくてはな)

杏寿郎は張り詰めさせていた気を緩め、それと共に表情も和らげて目の前で姿勢よく正座をしている更紗の手を握る。

「俺は君を信じる、やりたいようにやってみなさい。更紗ならば剣士としての務めを忘れるとは思わないし、柱稽古もきちんとこなすだろう。ただ栄養剤を使う時は糧に余裕がある時に試すこと、いいな?」

いつもより低く心地よい声が更紗の鼓膜を震わせる。
そんな杏寿郎の声音、信頼を寄せてくれている優しい表情や言葉が胸の中にじんわりと染み渡り、徐々に心や体を解していった。

「ありがとうございます。約束は必ず守ります。ご協力を願う実弥さんや伊黒様には私からきちんと事情を説明し、承諾いただけた時のみ実践致します」

握られた手をキュッと握り返し、屋敷へ戻って来てからずっと強ばっていた顔にふわりとした笑顔を浮かべた。
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