第19章 音柱と美しき鬼
「過去の行いを振り返ると何も言い返せませんが……今回はきちんと納得していただいた上で許可を頂こうと思っています!ご安心ください!」
確かに刀鍛冶の里で上弦の鬼の分身と闘った時は暴走せずに、きちんと杏寿郎からの許可がおりるのを待っていた。
その後は結局無茶をして足を折っていたが……
「そうか!それならば安心して聞けるな。ちょうど茶を入れたところなので更紗の分の湯呑みだけ取っていこう」
こうして台所へ寄ってから2人で居間へと足を運んだ。
茶を飲んで互いに気持ちを落ち着けた後、更紗は頭の中を整理しながら簡潔に分かりやすくを意識して話し出した。
珠世の紹介から始まり、これから先の闘いで何をしたいのか、それを行う上で必要だと思ったことをしのぶと珠世に相談したこと、そして2人から上がってきた問題点。
そして最終判断は杏寿郎に託されたこと。
それらを聞き終わった杏寿郎は瞼を閉じ、にわかに眉を寄せている。
しのぶの言った通り、様々な事態を想定してあらゆる可能性を思案しているのだろう。
その様子を更紗は自分の望みを叶えてもらう立場として、口を出さず真剣な眼差しでただ静かに見つめ続ける。