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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第19章 音柱と美しき鬼


「すみません、気を遣わせてしまってますね」

話しかけようかどうしようかと悩んでいるのに気付かれてしまったようで、しのぶが立ち止まって更紗に向き直った。
先ほどまでの張り詰めた空気は少し和らいでいるが、やはりいつもより表情が強ばっており、無理に笑顔を作っているように見える。

「いえ、私は大丈夫ですが……共に研究される方は気難しい方なのでしょうか?少ししのぶさんがお疲れのように映ります」

そんな更紗の予想は違ったのか、しのぶは小さく息をついてゆっくりと首を左右に振った。

「穏やかで物静かな方なので、研究自体は捗っていますよ。ただ……その方は人ではなく鬼なんですよ。禰豆子さんと違ってご自身の意志で鬼舞辻との繋がりを断ち、今は鬼舞辻を倒すために日々単独で研究を重ねていらっしゃいます」

ようやく自分が突然呼び出された理由が判明した。
きっと研究を共に行う者が人であったなら、更紗が合流するまで紹介は控えられていただろう。
研究ももちろん大切だが、剣士である更紗にとっては柱稽古が優先であり、先の闘いに備えて強くならなくてはならない。

それを圧してまで紹介されたのは、相手が鬼である事実を知った上で研究を滞りなく進める必要があったからだ。
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