第19章 音柱と美しき鬼
今回柱稽古を執り行うのは研究に時間を費やすしのぶを除いた8名だ。
つまり更紗はしのぶと杏寿郎以外の柱たちの稽古を1ヶ月でこなさなくてはならない。
7名それぞれの柱の元にいられるのは多くても5日……その間に柱の稽古内容の基準を満たしていく必要がある。
「そ、それは……継子でない剣士の方が頑張ってもこなせる日数ではない……ということですよね?」
「そうだ!長ければ1人の柱の元に、2週間以上留まる者も出てくると言われているからな!だが更紗は先の予定もあるので、柱稽古だけに時間を費やす余裕はない。生易しい稽古ではないし、いくら宇髄や不死川が君を可愛がっているとはいえ、他の剣士たちと差を付けるようなことはしない」
更紗としても差をつけられてしまっては稽古の意味がなくなってしまうので、全力で課題を出してもらうことに何ら異論はない。
「それは望むところです!実弥さんの稽古は無限打ち込みでしたよね!無尽蔵に動くことが出来ないので、それまでに持久力を付けていなくては長引いてしまいそうです……うーん、回る順番も意外と大切かぁ……明日までに計画を立てなくてはいけませんね」
与えた1ヶ月という無茶とも思える期限を守ろうと、1人悶々と考えを巡らせる更紗の表情がなんだか子供のようで、思わず杏寿郎の頬が緩んだ。