第18章 閑話休題
勝敗が着く少し前、更紗と杏寿郎の技がぶつかった事により巻き起こった爆風で飛ばされないよう、天元は更紗の両親を、槇寿郎は千寿郎を支えていた。
一体何が起こったのか。
自分の娘が何をどうすればこのような爆風を巻き起こせるのか、涼平も紗那も理解出来なかった。
いくら治癒の能力を持ち合わせていたとしても、自分の娘は普通の女子となんら変わらない女子のはずだった。
「こんな異次元の闘いを……あの子は日々行っているのか?あれでも倒せないほどの鬼と闘うのか?」
2人は直接鬼を見たことがないが、鬼を相手にするのはどういう事なのか、どれ程の力をつけなくてはいけないのか……そしてどれ程の危険が付き纏うのかを嫌でも感じ取った。
涼平が身震いし、やはり戦場へは行かせたくないと心の底から思ったが、紗那はそれとは反対のことを考えていた。
「見せて欲しいと言ったのは私たちよ。更紗ちゃんと杏寿郎君はそれに応えて……実力を見せてくれたの。ちゃんとあの子の顔を見て言葉を聞いて」
泣きそうな顔で紗那が見つめる先を追うと、そこには涙を流しながら自分の気持ちを杏寿郎へぶつける更紗の姿があった。