第18章 閑話休題
徐々に両親が更紗の実力を3人の口添えもあって認めつつあるとは露知らず、2人はまだ激しい攻防を続けていた。
「君の無尽蔵に動けるそれは反則だな!」
「私の唯一の強みですから!ですが万能でも……ありませんよ!」
確かに無尽蔵に動ける力は戦闘においてかなり有利である。
だが更紗の言う通り万能ではない。
力を体へと常に巡らせなくてはならないので、体力が減らずとも気力は削られ続ける。
つまり弱い相手か同程度の相手なら負けないが、杏寿郎のように柱が相手ともなれば話は別だ。
相手が強ければ強いほど読めない攻撃を躱したり流したり反撃したり……そちらに気を取られてしまえば悲しいことに力を巡らせることをそぞろになってしまう。
「師範は強すぎて気が逸れてしまいます!」
「なるほど!突破口はあるという事だな!…… 更紗、そろそろ終いにするぞ!構えろ」
勝ちを確信したような杏寿郎の表情に更紗は攻撃をいなしながらムッと口をへの字に曲げるが、長引かせたところで負けは確実なので距離を開け言う通りに……杏寿郎が望んでいる構えを取った。
「「炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄」」
2人が高速で移動した後には辺りを燃やし尽くすのではと思うほどの、激しく強烈な橙と紫の炎が映し出された。