第18章 閑話休題
天元の声が耳に届いた瞬間、2人は心拍数を上げ体温を上昇させて木刀を構えた。
見るからに強烈な攻撃を放つと理解出来る杏寿郎の構えに、2人は更紗を庇おうと足を動かしそうになったが、それは槇寿郎と天元に止められた。
戸惑う2人へ千寿郎から遠慮気味にその訳を聞かされる。
「安心してください。僕も今の更紗さんの強さを見たことはありませんが…… 更紗さんは笑顔のままです」
その言葉の通り更紗の顔は笑顔で満たされており、不安な様子は一切感じ取れない。
呆然とそんな娘の姿を見ていると、聞きなれない言葉と信じられない光景が2人の聴覚と視覚を刺激した。
「「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」」
同時に地面を蹴り一気に間合いを詰めた2人の木刀の軌道に沿って力強い炎が出現し……今までなかったはずの2人の顔の半分にその炎と同じような痣が浮かび上がったのだ。
あれは何かと考えるまもなく杏寿郎の強烈な橙の炎の攻撃を、更紗の凛とした紫と橙の炎の攻撃が迎え撃った。
体格的にも威力的にも弾き飛ばされると思った更紗の技は、弾き飛ばされる事無く鍔迫り合いへと移行させていた。