第18章 閑話休題
そうして更紗に案内されて屋敷内に足を踏み入れてすぐに杏寿郎がこちらへ向かって歩いてくる姿が目に入った。
どうやら槇寿郎と千寿郎を天元に任せ、更紗の両親を出迎えるために戻ってきたようだ。
「あ、杏寿郎君。つい先ほど両親が到着したんです。ご案内しても」
「杏寿郎君!この度は本当に申し訳なかった!うちの紗那が勝手をしたばかりに、君のご家族に迷惑をかけてしまって」
突然呼び付けてしまったことを杏寿郎が謝罪しようと心構えしていたが、先に涼平に謝罪されてしまった。
しかも深く腰を折り、片手で紗那の頭を後ろから押えて強制的に頭を下げさせながら……
「いえ、謝罪しなければいけないのは俺の方です。突然お呼び立てしたうえに、お迎えに上がることもせず申し訳ございませんでした」
杏寿郎に続き更紗も両親へ頭を下げると、涼平は紗那と共に頭を上げて首を左右に振った。
「突然だったけど、こうして更紗に会える時間を作ってくれた事に感謝しているんだ。それに迎えを断ったのは僕達だしね。僕たちは決して要人ではないから、毎回迎えに来てもらうのは流石に気が引けるよ。それなのに紗那ときたら……っと今は苦言を呈すよりも急がないと……2人とも、杏寿郎君のご家族の元へ案内してくれる?これ以上お待たせするわけにはいかないから」