第18章 閑話休題
「え?顔に出ていましたか?!あ……」
思わず口にした言葉に慌てて口許を押さえるが出した言葉は戻らない。
その状態のまま後ろを振り向くと、杏寿郎は穏やかな笑みで頷き他の皆は安心したようなホッとした表情をしていた。
「何考えてんのか何となく分かるが、んな事気にすんな!今から戦場に行くわけでもあるまいし。煉獄に言われたことねぇか?嫌なことは嫌、嬉しいことは嬉しいって感情出せばいいって。今まで抑えて生きてきたんだ、せめて仲間内ではさらけ出しとけ!それに……」
(自分だって寿命奪われてんじゃねぇか……なんて口が裂けても言えねぇが)
言葉を続けそうだった天元が押し黙り、更紗は首を傾げて先を待つが一向に現れないし、これから先も現れることはない。
「何かありましたか?」
「いや、何もない!いいこと思いついた、姫さん屋敷まで競走しようぜ!おら!お前らも走れ!1番びりっけつだった奴は今日の晩飯代全額おごりな!」
『え?!』
全員が戸惑いポカンとする中、天元は笑いながら更紗の腕を引っ張り皆より先に走り出した……全力で。
初めは突然の徒競走の始まりに戸惑っていたが、勝敗はどうあれ笑顔が戻っていた。