第18章 閑話休題
「と言う事情がございまして……元々天元君には仲人をとお願いしていたのですが、準備も何もない状態ですので今回は互いに面識のある天元君に形だけでも来ていただきたいと我儘を言っちゃいました。でも皆さんのことも紹介させてくださいね!」
いつも通りの笑顔を振りまき1人ずんずんと前へ進む更紗は弾んでいるように見えるが、実は心中穏やかではなかった。
ここにいる全員、家族を何かしらの事情で亡くしている。
それなのに自分だけ両親に会えると浮かれるのが憚られ、そういった発言はどうしても出来なかった。
(かと言ってあからさまに遠慮しても失礼になりかねませんし……何か気を紛らわす方法は)
悶々と悩み続ける更紗の心中、本人は隠しているつもりだがここにいるのは杏寿郎を除き特異体質の持ち主……概ねバレている。
そして杏寿郎も人の機微に敏感なのでこちらもまた然り。
「あーあー、姫さんまた悩んでんぞ。お前ら同じ煉獄の継子ならどうにかしろよ。男が揃いも揃って1人の女を慰めることも出来ねぇのかよ、嘆かわしいなぁ!」
そんな天元の挑発にのるのは宇髄邸で強制的に面倒を見られていた2人だった。
「あんたも同じでしょ!そこまで言うなら見本見せてみろよ!まぁ、あんたなら更に悩ませるのがオチだろうけど!」