第18章 閑話休題
「「え?」」
短い言葉が重なった2人へ神久夜が1歩歩み寄った。
「詳シクハ私から説明致しマス」
事情を飲み込めていない更紗と杏寿郎は、何がどうなって顔合わせとなったのか理解するため、一生懸命に言葉を紡ぐ神久夜の声に耳を傾けた。
神久夜は杏寿郎の頼みで更紗の両親の元へと飛び、屋敷への招待日を改めて報告に向かっていた。
言伝た後、両親の計らいで要の迎えが到着するまで家の中で休ませてもらっていたが、涼平が少し目を離した隙に母親である紗那から手紙を託されたらしい。
しかも槇寿郎宛ての……
どうしようかと悩んでいるうちに涼平が手紙に気付き紗那を問い詰ようとした矢先、紗那に急かされ言われるがまま飛び立ち杏寿郎の生家へ急いだ。
そしてこちらへ向かってきていた要と途中で合流し、急いで槇寿郎の元へ紗那からの手紙を届け、その返事を槇寿郎に託されて今に至る。
話しを聞き終えた杏寿郎は笑いを堪え、更紗は顔面蒼白となっていた。
更紗にとって杏寿郎が笑いを堪えているのがせめてもの救いだろう。
「その手紙に、父上へご挨拶させてもらいたいと書かれていたのだな!出来れば顔合わせというかたちで、と。フフッ、突飛な行動を取られるところは更紗とそっくりだな!」