第18章 閑話休題
遠い目をしているが、遠い目をしたいのは更紗ではなく両親だろう。
好き好んで娘を戦場に行かせたがる親などいないのでどうしたものかと杏寿郎は悩んでいたが、今の更紗の表情を見ていると何だか肩の力が抜けた。
「あまり強引に説得するのではなく、ご両親の気持ちも汲みながら進めなくてはいけないな。さぁ、長くなってしまったがそろそろ休むと」
「ココヲアケタマエ!」
ようやく体を休めようとしたところへ、縁側に続く障子の外から要の要望が届いた。
「おかしいな、更紗の両親の元へ向かっていた神久夜と合流後、共に生家に戻って休んでててくれて構わないと言ったはずだが……」
疑問は残るが外に出したままにするわけにもいかず、杏寿郎と更紗は立ち上がって静かに障子を開けてやる。
そこには開くのを待っていたと言わんばかりの要はもちろん、神久夜もちょこんと大人しく羽を休めていたので、ひとまず中へ促すと2羽仲良くぴょこぴょこと入ってきた。
「ショウジョノハハウエカラノキボウデ、キュウキョカオアワセヲスルコトトナッタゾ!」
……2人は要を見つめながら暫く沈黙。