第18章 閑話休題
「俺は父上や千寿郎とは家が近いの出立の直前にでも会えるし、元々煉獄家は炎柱を担ってきた家系だ。突然激戦地へ赴いたとしても2人ともその意味や危険性を十分に理解している。だが、更紗の両親はそうではないだろう?」
月神家は強大な力を有している故に細々と暮らしているが、両親の様子を見る限り平和に穏やかに暮らしている。
鬼による村民への被害はあったものの、日常で刀を見るような生活はしていない。
今更紗が幼い頃の記憶を思い返しても、両親はもちろん村の人たちは慎ましい生活を送りながらも穏やかな表情をしていた。
「そう……ですね。さすがにお手紙だけで戦場へ赴きます……なんて伝えたら、血相を変えて激戦地へ突撃してくるかもしれません。特にお母さんが」
自分と近いしい匂いがするのか、更紗は母親が箒を持って戦場へ乱入してくる姿が思い浮かび、慌ててそれを振り払うかのように首をブンブンと左右に振った。
「……否定は出来んな!それはともかく、大切なことだから更紗と俺から直接伝えた方がいいと思ったのだ。場所は藤の花の家紋の家でと考えていたが、鬼の出現もピタリと止んだのだし、せっかくならば我が家へ足を運んでもらい、娘が何処でどんな所に住んでいるのか見てもらい少しでも安心していただきたいのだが……どうだろうか?」